遊環構造デザイン
仙田 満氏(株式会社環境デザイン研究所会長) 写真・資料=株式会社環境デザイン研究所 文責=編集部 菊竹清訓氏が唱える「か」「かた」「かたち」 私は1964年大学を卒業し菊竹清訓建築設計事務所 (以下、菊竹事務所)に入所しました。そのころ菊竹氏は 設計のプロセスは「か」→「かた」→「かたち」の構造に従 い三段階で進むということを唱えていました。これは物 理学者の武谷三男氏の概念発展の三段階の理論(*)を「か たち」に対しても同様に成り立つと考えたものです。つ まり認識のプロセスは「かたち」→「かた」→「か」と進ん だ末に、再び「かたち」のより深い認識に立ち返る環とな り、実践のプロセスにおいては、「か」→「かた」→「かた ち」と進み、「か」に立ち戻りより高次の実践となるとい う考え方です。そしてこの三段階は直線的ではなく循環 する三角構造であるとしています。 私はこの三段階の概念を論理的にフォローをする担 当になりました。つまり設計において菊竹氏の唱える 「か」「かた」「かたち」の三段階による設計方法論を実際 の設計に適応させるということをしていましたが、当時…